自分の考えや趣味嗜好を誰かに伝えることは、人間関係を深める上で無くてはならないものです。自分のことをもっと理解してもらうためだったり、相手の信頼を得るために理解や共感を示したり、落ち込んでしまった人を励ましたり、望まない方向へ進んでしまうことを制止したりと、人間は会話することによって目には見えない心の内側を確かめ合い、信頼を築く作業を行いながら、安心できる社会を形成し、今日に至るまで発展させてきました。それは誰に学ぶでもなく、物心がついたときには既に備わっていた人間の本能であり、人を愛し、愛されたい、または、人を傷つけたくないし、傷つけたくないと願う欲求は、言葉をより多義的な役割を持つものへと進化させました。特に日本語は、細やかなニュアンスの違いを別々の言葉で繊細に表そうとする言語であり、それを自由に使いこなせるだけのボキャブラリーがある方にとっては、豊かさとなりますが、そうでない方にとっては、どの言葉も適していないように感じさせてしまったり、言葉に詰まるような感慨に至らせるだけの、無用の長文でしかないのが現実です。

この所謂、口下手というコンプレックスを抱いている方は、人前に出るのが苦手だったり、仲良くなりたい相手がいても、一歩前に出たところで気まずい空気を作ってしまう不安が先に立ち、引っ込み思案な行動パターンになってしまいがちです。このような悩みを抱えている方は、男女共にたくさんおり、自分の感情を表現するのが苦手と言われがちな日本人のシャイな印象のポピュラリティを思えば、国民性と言っても過言ではないでしょう。そんな状況を変えようと、多くの会話術やメンタルトレーニングの書籍が本屋を埋めていますが、それらを俯瞰で眺めてみると、切り口は違えど、本質は同じようなことを伝えているケースが多々ありますので、それらを要約した上で、会話に困らなくなるための具体的な戦略を示していきますので、日常的なシーンでの会話や、気合を入れなければならない会議や婚活パーティーなどでも、ここで示すナビを活かせて頂けたら幸いです。

ではまず、会話の仕組みについて、あらためて理解しておきましょう。これさえ覚えておけば、会話はそれほど複雑なものではないということを把握することができるようになりますので、知っておくととても便利です。それは、会話というのは、基本的に教えるか、教わるか、盛り上げるかの三種類だけで展開するということです。ですから、発想としては、何を伝えようかな、と、何を伺おうかな、ということだけを考えていれば、会話の骨組みは形成することができます。これを念頭に入れた上で、5W1Hと略される、コミュニケーションを円滑にするための基本6項目を使い分けることで、会話は飛躍的に楽になりますので、覚えておきましょう。

5W1Hとは、When(いつ)、Where(どこで)、Who(だれが)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)を表す頭文字で、言葉に詰まってしまったら、最悪、この中のどれかを投げ掛けることを意識すれば会話を生むことができる、優れものなのです。

これらは、教える、教わる、の両方で使うことができ、例えばどんな相手にどんな状況で投げ掛けても不自然にならない天気の話を例に考えてみれば、教える側でWhyを使えば、「明日は雨らしいですよ」となり、教わる側なら「明日も降るんですかね?」となり、この調子で5W1Hで会話を膨らませば、天気だけでも多少の会話はできます。天気という他愛もない事柄でも、それが可能ですから、自分や相手が好きなことなら、自分や相手の中にもっと情報量が詰まっているので、もっと多様性のある5W1Hを引き出しやすいです。

次に、会話を盛り上げるための言葉ですが、これも予めある程度の言葉を用意しておくことで、苦手意識を克服することができます。会話が苦手な方の多くは、急に即答を求められる空気に耐えられないことや、それによって生じる沈黙に申し訳なさを感じる根が優しい方が多いので、すぐに出せるプラカードを手に持っているかのように準備しておくことで、安心できるわけです。

例えば、あいうえお、で覚えるなら、ありがとう(感謝する)、良いですね(褒める)、ウケますね(よく笑う)、えー!(感動する)、男らしいです(女を感じさせる)、といった具合に、男心を刺激するツボを押さえる相槌を用意しておくだけで、相手をどんどん気持ちよくすることができます。基本的に男性は女性をリードしたがる生き物ですので、会話スキルについても同様、ボキャブラリー豊かに話し続けることのできる女性より、聞き上手に徹してくれる女性を求めています。野球のキャッチャーが女房に喩えられるように、男性は受け皿としての魅力に女らしさを見出しますので、自分が話せるスキルより、男性を気持ちよく話させるスキルの方を、意識してみて下さい。それらは、先に挙げた5W1Hと、あいうえおの相槌だけでも、十分、達成できます。

それと最後に、もう一つだけ。人は面と向かって会話するとき、相手の表情を見ようとしますが、自分の話をわかってくれていると簡単に思わせる方法があります。それは、相手の表情を真似することです。言葉というのは複雑で、真意とは裏腹に逆説的に語る事もあり、そういうときは口元は笑っていても目の奥はシリアスだったり、必ず表情に心理状態が表れます。それを、瞬時に反応し返すことで、どんな会話も「わかってくれてる」と相手に感じさせることができ、親近感を抱かせることができます。男性が結婚を意識する瞬間の上位に、一緒にいると落ち着く、というものがありますが、この会話中の表情の共有は非常に有効です。先に挙げた聞き上手のためのスキルと共に、これを意識してみれば、口下手だけど聞き上手な女性となり、生涯の伴侶に相応しい女性として、男性から選ばれる人生になります。